ドーナツホールから見える宵闇

なんとなく思ったことを書いてます

思い出話は曖昧に

コロナが流行る前のことなんだけど、

友達と二人でちょっとお洒落で可愛い感じのお店でご飯を食べていた。

私たちの隣のテーブルには若い男女が座っていたんだけど、初々しい雰囲気で。

私はその2人を見て、付き合って間もないのかな?もしくはもうそろそろ付き合う感じ?と勝手に予想を立てていたた。

テーブルの間隔が狭かったから、その男女の会話が何の気なしに聞こえてくる。

「今日は来てくれてありがとう」とか

「楽しみにしてた」とか

聞いてるこっちが胸キュンするようなやり取りに、私と友達はニヤニヤしていたんだ。

そのうち男の子が女の子を褒めだして、うわっ良い彼じゃん!なんて思っていたら

「今日の服も可愛いけど、この間来ていた赤のコートも似合ってたよ」という男の子の言葉のあと、少し間があいたのち

女の子から出た言葉は「それ私じゃない」という背筋も凍る一言だった。

えっ・・て思った。思わず友達を見ると、友達も「こいつはやべぇぞ!」という表情で私を見ていた。

ちらりと隣のテーブルを伺うとさっきまでのニコニコとした雰囲気が一切なくなった女の子。カチャカチャとカトラリーが食器に当たる音だけが響く。

男の子は挽回しようと試みているようだけど、「あ・・」だとか「えっと・・」だとか、意味のないことをもごもご言うのみ。

もうこれは仕方ないよね。このデートはもう立て直せません。次回頑張るしかない。

 

相手との思い出話をするとき、変に具体的に話さない方が良いなと学んだ。

服とか車とか場所とか。悪気なく違う人との記憶が混ざってしまっている場合があるから。

例えば「高尾山行ったとき、楽しかったね」と言いたくても「山の方に遊びに行ったとき楽しかったね」のようにふんわりと逃げ道を用意しておくべきだ。

それでもし相手から「山の方なんて行ってないよ」と言われても「あれ?山が見えてた気がしたんだけど気のせいかな」と多少の言い逃れができる気がする。

地名をだしてしまうともう言い訳できない。