信号のない横断歩道を渡ろうした時、右からバイクが来た。そのバイクは横断歩道手前で止まり、こちらを見て“うん”と一つ頷いてくれた。
「先に渡っていいよ」ということなんだろうと思い会釈をして小走りで渡らせてもらった。
え、カッコよすぎじゃん。
横断歩道を渡り切ってから振り返る。アクセルを吹かして風のように去っていった。
え、カッコよすぎじゃん。
まったく同じ感想しか出てこない。
フルフェイスのヘルメットをしていたので顔はさっぱり分からない。服装もライダーらしいしっかりとした長袖長ズボンに手袋で肌が露出しているところは一切無かった。体格からおそらく男性だと思うがそれも自信はない。背の高い女性かもしれない。年齢も雰囲気も何もわからないが、とにかくカッコよかった。
個人的に人の顔は見えていない方が素敵に思えてしまう。声も聞こえていない方が素敵に思えてしまう。“見えない”、“分からない”というのは魅力を最大限に引き出すような気がする。
謎めいた存在というのだろうか。戦隊モノでも赤レンジャーより敵か味方かわからないような黒レンジャーに憧れたものだ。アンパンマンならロールパンナちゃんかな。一匹オオカミな立ち位置もまた魅力的に見える要素かもしれない。
見えない方が素敵派の私なんだけれど、好きな作家さんの顔は見たくなる。
本のカバーの内側に作者の顔写真が載っていると嬉しくなる。親近感がぐっと湧く。あれは文庫本だけなの?ハードカバーの本だと載っていないことが多い気がする。
もしも私が本を出す立場になったら写真は載せるだろうか?載せたい気持ちと、自信の無さが葛藤して多分雰囲気美人風な写真にするだろう。顔の一部だけとか。(今のアイコンもそれを全力で目指して作った。そろそろ変えたい)
皆様は顔写真載せる派ですか?