オチまで書いてしまうので、まだ読んでないよ、知りたくないよという方はぜひバックして頂きたい。
江戸川乱歩の作品自体が初めてだ。そもそもは「I love youの訳し方」という本の中にこの人間椅子の1節が出てきて興味を持った。
「I love youの訳し方」は色んな作品の1節が抜粋されていて面白い。
人間椅子を読んだ感想としてはゾワゾワとした気味悪さと仄暗い甘さがある。バナナが熟しすぎて腐敗し始めたころの甘さが頭に浮かんだ。
1925年に書かれた作品だけあって、言葉の選び方が今と違って美しいと感じた。もし私が佳子だったら、こんな手紙をもらったら、もちろん恐怖が一番最初にくるだろうけど相手の顔を見てみたいと思うだろう。
手紙の差出人は「世にも醜い容貌」と自分自身を形容しているが、それが余計に興味をそそる。こんなに美しい文章を書く人が醜いとは…。怖いもの見たさなのか、今でいうギャップ萌えなのかは分からない。
二通目に届いた手紙には最初の手紙の内容は「拙い創作でございます」と書いてあった。それを読んでなぁんだとガッカリしたのだが、その割にはこの椅子をどこで買ったかとか、書斎の窓の鉢植えだとか詳しくないか?
これってどっちなの?撫子の鉢植えにハンカチをかけたらどうなるのか。
私の希望としては最初の手紙の内容は真実で、二通目は佳子を怖がらせないための心遣い。いや、思わず投函してしまった手紙に後悔して、届くことは止められないからフィクションですよとしたかったとか。
どちらにせよ私なら椅子を徹底的に調べるだろう。こういう全てを明るみにしたがる所が自分の良さでありダメな部分だとも思う。
皆様の考察もぜひ知りたい。