どんどん寒くなってきたので、ここ最近は夏が恋しくて仕方ない。
夏になると冬が良いと思うし、冬になると夏が待ち遠しいし。
季節は毎年繰り返しているのに、どうして同じ事を思うんだろう。
『夏』と聞いて良いイメージが沢山膨らむのは、やっぱり夏休みの影響だよなと思っている。
学生の頃、毎年待ちに待っていた夏休み。
学校のプールに地元の夏祭り、花火大会、ラジオ体操、午前中にやっていたアニメ番組。
プールなんて今はもう衛生面が気になって入れない。小学生の時は色んなものを「汚い」なんて思わなかったのに。あの頃の方が生きやすかったように思う。
あと多分だけど、今ほど暑くなかった。
学生の頃の話ではないんだけど、忘れられない夏の思い出がある。
もう10年近く前の真夏、姉一家と一緒に海に行った事がある。
その時私は恋人と別れたばかりで、引っ越しをしたりもして、なんだか色んな事に疲れて人生で1番痩せた時期だった。
久しぶりの海は当たり前だけど日差しがギラギラ痛くて潮風はベタつくし、何をしていても暑くて「最悪だ…」と思いながら過ごした。
水着を持っていなかったので姉のを借りたんだけど、その時の私は本当に痩せていたからサイズが合わない。
それでも上からラッシュガードを着るからいいやと全然似合わない、少しサイズの大きいピンクの水着を着ていた。
それが悲劇を招くことになるとは知らずに。
着いてしばらくは浜辺でダラダラしていたんだけれど、せっかく来たし少しくらいは海を楽しもうと波を掻き分け入って行った。
膝くらいの深さであっても波がくると足が取られてしまう。
日頃の運動不足とその頃の栄養不足により体力も筋力も大幅に落ちていた私は、踏ん張りも虚しく呆気なく転んで顔から海にダイブした。
ゴーグルも付けていないし塩水に目をやられながらなんとか起き上がってビーチを振り返ると、姉が私を指差しながらお腹を抱えて笑っている。
なんだなんだ、ちょっと転んだだけじゃん?と思っていたら「お尻出てるよー!!」との声。
そう、水着がずり下がってお尻が丸出しになっていたのだ。
慌ててしゃがみ込み水の中で水着を引っ張り上げている最中に再び波に飲まれ、でんぐり返しをする羽目に。
「もう!死ぬかと思った!」と息も絶え絶えにビーチに戻ると、大笑いした姉が「宵闇のお尻、めっちゃ白い!!」と言って私のお尻を思い切り叩いた。
涙を流すほど笑い転げる姉を見ていたら、最近続いていた嫌な出来事全てが馬鹿らしくなってきて自分でも大笑いしてしまった。
あんなに笑ったのは久しぶりだったと思う。
今でも姉と会うと「海でお尻出てたよね」と笑われる。
それ以来海水浴はしていないんだけど、私にとって最高の夏の思い出であることは間違いない。
来年はサイズの合う水着を着て海に行くのもいいかもしれないと思っている。