ドーナツホールから見える宵闇

なんとなく思ったことを書いてます

少女革命は起こせなかった

学生時代の友達の話をしよう。最後に会ったのはもう4年程前だ。

 

彼女はふわふわとした話し口調で柔らかい雰囲気を纏う。しかしそんな雰囲気とは裏腹に、行動はかなりトリッキーだ。私の知らない夜遊びの方法や美容の情報、株の知識なんかを教えてくれた。聞いているだけですごく刺激的。

お酒が好きで根っから明るい。私だったら落ち込んで数日引きこもってしまいそうな出来事でも笑い話に変えていて、その強さが美しかった。

「私はデニムのパンツは履かない」と己の美学を貫く姿勢もまた美しかった。

 

人に好意を伝えるのが得意で、私のこともよく褒めてくれた。そして私が太ったり、お洒落に失敗したりすると「ダサいね!」と笑顔であっけらかんと伝えてくれた。ダメな時は笑い飛ばしてもらった方が気が楽だ。

裏表のない真っすぐな正直さに安心して隣にいるのが心地良かった。

 

 

私は彼女に憧れていたと思う。“彼女の親友”という立ち位置を確立したかった。そしてそのようにはなれない事にも気付いていた。

 

保守的で家に籠りがちな私と次々に外の世界を開拓していく彼女。

あっという間に私はつまらない存在になってしまったんだろう。

 

同じ学校という閉鎖的な空間で過ごした数年間。まだ今より全然幼かった二人。

あの時に出会っていたからこそ分かり合えたんだと思う。

だってほら、大人になった今ではこんなにも遠い。

 

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今頃どこで何をしているんだろうと時々考える。

きっと綺麗なワンピースを着て小さなバッグを持ち、ヒールを鳴らして夜の街を歩いているんだろう。

私は飲んだことがないが、シャンパンなんかを飲んでいる気がする。

いや、サングリアが好きなんだっけ?

 

最後に会った時、酔って夜道を歩く彼女を写した1枚はブレているけれどまだカメラロールに残っている。

 

いつかまたどこかで会えたら嬉しい。

その時は「実はおそろいの物が欲しかった」と伝えてみたい。

きっとまた笑い飛ばされてしまうだろうけど。